安全性・自由度・低コスト・エコロジーに優れた熱可塑性エラストマー(TPE)
熱可塑性エラストマー(TPE)には、多くの優れた特徴があります。塩化ビニルを使用できない場合や、シリコーンゴムではコストがかかりすぎるケースでは、代用品として高い価値があると言えるでしょう。このページでは、熱可塑性エラストマー(TPE)の加工・成形におけるメリット・デメリットについてスイフ産業がご紹介します。
熱可塑性エラストマー(TPE)のメリット
現在普及しているポリ塩化ビニルは、ゴムのような弾力がありさまざまな加工物へ使用されています。しかし、安全性という面では不安が残る素材です。それに比べ、エラストマー樹脂はポリ塩化ビニルに比べ高い安全性を保持しており、人の口に直接触れる食器などにも利用することができます。
- Pickup! 塩化ビニルに関する法令について
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DEHPを含有する塩化ビニルについては、食品衛生法によって以下のような取り決めがあります。
油脂、脂肪性食品を含有する食品に接触する器具および容器包装には、DEHPを含有するポリ塩化ビニルを主成分とする合成樹脂を使用してはならない。ただし、DEHPが溶出または浸出して食品に混和するおそれのない場合はこの限りではない。
※平成14年厚生労働省告示267号より引用このように、ケースにもよりますが食器や幼児用のおもちゃには、DEHPを含んだポリ塩化ビニルを使用することが難しいと言えます。そのため、安全性の高いエラストマー樹脂の採用がお勧めです。
熱可塑性エラストマー(TPE)には費用面でさまざまなメリットがあります。現在広く利用されているシリコーンゴムなどの代用にも最適なので、高品質かつコスト削減を目指した成形・加工には非常にお勧めです。
価格帯が低い | 素材そのものの価格帯がシリコーンゴム等の素材に比べて安価であるため、コスト削減につながります。 |
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製造工程が少ない | 架橋が不要であることなど、製造工程が少なくなるため生産性が向上し、エネルギー消費も抑えられます。 |
代用に最適 | 汎用プラスチック用の射出成形機や押出機を使った成形が可能なため、製品によっては素材のリプレイスができます。 |
熱可塑性エラストマー(TPE)は、素材のほとんどをリサイクルすることができます。また、塩素や臭素などのハロゲンが含まれて折らず、加工時には有害なダイオキシンが発生しません。高い品質だけでなく、地球環境にも配慮されたエコロジー素材です。
熱可塑性エラストマー(TPE)のデメリット
高い安全性や自由度を兼ね備える熱可塑性エラストマー(TPE)ですが、以下のようなデメリットも存在します。そのため、用途によっては使用が難しい場合もあります。詳しくはご依頼の際に当社までご相談ください。
耐油性 | 種類によっては油に弱いものがあり、染み出す場合があるため、油に触れるものには使用するのが難しい。 |
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耐熱性 | 熱が加わることにより変形する性質があるので、種類によっては高温の環境で使用される部品などには使用が不可。 |
生産設備が必要 |
比較的新しい素材であるため、設備だけでなく技術的に十分な知見を持つ業者が少ない。 |